映画の感想とボヤき

人生迷走中の独身女が映画をみて感想を言ったり、感じたことをただ赤裸々に書き記すだけのブログ。ネタバレ全開なので注意。

恋はデジャ・ブ[Groundhog Day] 感想

 

コメディタッチに描かれていて、設定自体はありふれているけどしっかりとSFファンタジーだし、わりとエグさもきっちりある。
傲慢でプライドの高い男がループされる日々の中で、好き勝手に遊んだり、自暴自棄になったり、ありとあらゆる自殺を試して死んだり… 好きだった女を何度もループし上辺だけの情報で口説こうとしても絶対にフラれる。


「ビールが半分グラスに残っていて、それを”もう半分しかない”と思うのと”まだ半分もある”と思う人がいる」一体どちらの人間が生きやすいのだろうか?


老人の死をきっかけにループする一日を前向きに捉えるようになったフィルはその一日一日でピアノのレッスンを受けたり氷の彫刻を覚えたり、街で起きる様々な事件を把握し、助けた。
そうして磨かれたフィルという人間に、何をやっても落とせなかったリタの方から「落札」してくれる。リタの氷の彫刻を見たとき、ブワッと涙がこみ上げた。打算などない、愛の形だった。


最後はあんなに退屈で嫌っていた田舎町に住もうと言ってゴール。ある意味めちゃくちゃスパルタで人格を矯正されたような部分もあるかもしれないけど、これは物語であり、視聴者にヒントを与えてくれていると感じた。とっても素敵だった!

 

ぼくのエリ 200歳の少女[Let the Right One In] 感想

あの素朴で美しい雪の街並みみたいに綺麗だけどどこか…孤独で寂しい…


人ならざるものと人間が寄り添う物語において必ずしも「代償」っていうのは付きまとうし、故に後味として切なさが残るよなぁと…


オスカーが将来的にあの血を集めていた男のようになってしまうかもしれないし、ならないかもしれないし…ふたりの行く末はわからないけど、でも少なくともオスカーはいつか寿命を終えてエリを置いていってしまうんだなあ 殺さずには生きられない 「入れ」がないと部屋にすら入れない 暖かい太陽の光も浴びれない。

エリは少なくとも進んで人間の血を飲みたがってるようには思えなかったし、血を吸った後殺さない人間の末路を描いたことによって、それを回避するために全員殺しているようにも思えた。心のある怪物は、何を思って生きるんだろうか。計り知れない。

 

そんな存在がこの人間の世界で長く生きていく事のままならさの中で出会えた希望のようなもので、オスカーにとってもまた初めて見つけた自分の居場所だったのかなあ 切ないなぁ~~~~


あとPG12すらわりとキツいな とくに血を抜き取ろうとしてるシーンとか普通にウインドウさげてヘッドフォン外しちまったよ 血はキツイ

鍵泥棒のメソッド 感想

嫌いじゃない 序盤でいきなり殺しのシーンだったのでもしかして割とそういうシーン多いかな?と思ったけど懸念したようなエログロがなくて観やすかった

 

コンドウのあの丁寧さ几帳面さは見習いたいと思ったし私が完全に主人公側の人間なので強いて言うなら主人公のクズさにイラついた(似ているので)

「結婚は恋愛をしなくたってできる」というのはめちゃくちゃ理解できる上で、それでも「キュインキュイン」としてしまう出来事が突如として転がってくる何気ない「日常」の話のように感じた

 

「「結婚」を意識したとたんに胸はときめかなくなる」とヒロインの姉が言う。

別に大して恋愛をしたことあるわけじゃないけど、本当にその通りだと思う。恋愛に”生活”や”人生”を加えただけで、ふわふわとした世界は一気に現実味を帯びる。

結婚は生きることであり、共同戦線できる戦友を探さなくてはならないのだから、「結婚」に比重をおくのであれば、”ときめき”など必要なく、そして恋愛感情というものは、数年経てば落ち着いてしまうんだから。と、私は思っている人間なので、こういう物語を見ると、素直に「素敵だな」「ズルいな」と感じます。

 


そして何かと叩かれがちな邦画だけどやっぱり私はわりと好きだなぁと感じた そんなにみてるわけじゃないけど、多分「ダメ」とされている部分が「ダメ」として「好き」なんじゃないかなと思った。言葉にするのは難しいけど。いわゆるダサさとかテンプレ感とか、ダメだからこそ「出た!」ってなるのが嫌じゃないのかもしれない。

チョコレートドーナツ[Any Day Now] 感想

差別のおはなし 「ハッピーエンド」にはならない現実のお話

 

イカップル二人もきっとド聖人というわけではなく、きっと生きるために必要な”違反”なんかもきっとしてきただろうけど(とくにドナテロ)、ただ、心優しく、そして問題に立ち向かう勇気のある人だったんですよね


自分が「ゲイ」として「差別」されることを「受け入れていた」ポールが裁判で相手の判事から因縁をつけられまくって「人形」の件で取り乱したドナテロとそれに重ねて熱く論議するポールが「さっきから議題から話がそれている!この裁判の本質はストレートやゲイなどではない!マルコだ!!」って言い切ったときはグッときた

「愛と正義」によって人は変わる人はいるし、でもそれが「必ずしも勝利するわけではない」ということが、この世の現状、マイノリティの立場の弱さを表していて…ああ無情

だけど、世の中そんなもんだよね、って思いながら観ていた私は確かにドナテロに出会うまえのポールと同じだと思った。

ミッドナイト・イン・パリ[Midnight in Paris] 感想

 

唐突なファンタジーだけど抑揚のない淡々とした物語

でも作中に次々と登場する有名な作家詩人画家たちの詩的なセリフが宝石のように散りばめられている

あと主人公夫婦を見ててすげぇわかるわーってなってたんだけど、人との出会いは大事でその人達の中で自分は生きていくわけでそのありがたさは計り知れない部分もあれどでも逆に言えばこの短い人生の中で「出会った人の中から選ばないといけない」みたいな、「知り合い」になるのに明確な理由なんてなくて、選択の狭さがそのまま視野の狭さになってしまうっていうか、必ずしも「最良」ではないんだよなぁと性格が悪いのでそう思ってしまう時があるのでそれをすごく感じた

一緒にいて楽しかったという事実は「本当」なんだけど…「本当にベストマッチなのか」っていうのはやっぱり別だというか うまく言葉にできないけど…


きっと主人公も奥さんに出会った当初はあのアドリアナとのように強く惹かれあったのかもしれないし、あのままアドリアナと一緒にいても最終的には「肝心なところで合わない」と感じていたかもしれない。そして、「イネスはよかったよなぁ」なんて、思ったかもしれない。


「あの頃はよかったのになぁ」「楽しいことも沢山あったんだけどなぁ」という気持ちをきっといつだって誰だっていつの時代の人だって等しく感じていて、それに強く惹かれ足を止めながらもでも「そういった不満そのものが今という現実」と向き合い前を進むことを選んだ…すごく人間が生きる上でよけられない苦悩的なテーマのお話だなと思った