ミッドナイト・イン・パリ[Midnight in Paris] 感想
唐突なファンタジーだけど抑揚のない淡々とした物語
でも作中に次々と登場する有名な作家詩人画家たちの詩的なセリフが宝石のように散りばめられている
あと主人公夫婦を見ててすげぇわかるわーってなってたんだけど、人との出会いは大事でその人達の中で自分は生きていくわけでそのありがたさは計り知れない部分もあれどでも逆に言えばこの短い人生の中で「出会った人の中から選ばないといけない」みたいな、「知り合い」になるのに明確な理由なんてなくて、選択の狭さがそのまま視野の狭さになってしまうっていうか、必ずしも「最良」ではないんだよなぁと性格が悪いのでそう思ってしまう時があるのでそれをすごく感じた
一緒にいて楽しかったという事実は「本当」なんだけど…「本当にベストマッチなのか」っていうのはやっぱり別だというか うまく言葉にできないけど…
きっと主人公も奥さんに出会った当初はあのアドリアナとのように強く惹かれあったのかもしれないし、あのままアドリアナと一緒にいても最終的には「肝心なところで合わない」と感じていたかもしれない。そして、「イネスはよかったよなぁ」なんて、思ったかもしれない。
「あの頃はよかったのになぁ」「楽しいことも沢山あったんだけどなぁ」という気持ちをきっといつだって誰だっていつの時代の人だって等しく感じていて、それに強く惹かれ足を止めながらもでも「そういった不満そのものが今という現実」と向き合い前を進むことを選んだ…すごく人間が生きる上でよけられない苦悩的なテーマのお話だなと思った