映画の感想とボヤき

人生迷走中の独身女が映画をみて感想を言ったり、感じたことをただ赤裸々に書き記すだけのブログ。ネタバレ全開なので注意。

ブレックファスト・クラブ[The Breakfast Club] 感想

ピッチパーフェクト見たときにかなり取り上げられていて主題歌が有名っぽかったので視聴リストに入れました。視聴後ピッチパーフェクトの最後の選曲の意味とジェシーのガッツポーズの意味がわかった…。

内容としては全編通して大きな盛り上がりもなく淡々としているし、場所もほぼ図書室に固定。それぞれスクールカーストのバラバラな5人が集められて土曜日に「自分とは何か」という作文を書け、という補修を受けるお話。


最初は分かり合う気もなく反発しあって一発触発で険悪な雰囲気が続く。それぞれがお互いにお互いの事を勝手なイメージや偏見を持って接している。そんな中それぞれが少しずつ自分の内を話したり行動を共にする中で、こいつ、意外と悪い奴じゃないじゃんとか、ああきっとコイツはこんな闇を抱えてるんだろうな…。なんて察したり。みんなでマリファナを吸いながらハイになるシーンは良かったですね。


「月曜僕たちがであったらどうなるの?」っていう質問をスクールカースト低い彼がいうのはウッ…となりましたね。


私はどちらかというと学生時代はスクールカースト上の下ぐらいにいて、スクールカースト低い子とも高い子ともとくに気にせず付き合っていたりしたんですが、故に先生とかに友達がいなくて孤立している子を「お前話したりしてるだろう」って押し付けられたりしていました。


その子自体は無害というか、必要以上に避けたりひどくあったりする必要は無いからそうしてるんですが、やっぱりそういう子って周りからの「視線」が気になるんですよね。その子と接していると「アイツと接してる奴」というレッテルが自分に貼られてしまう。そして、私がそこまでする程その子の事が好きな訳ではない…。
故に、クレアの回答は「完璧」で「とても素直」だと言えます。きっとそうするでしょう。完全無視とは言わなくても、徐々に会話を減らしたり、避けるようになっていく…。そんなもんなんですよね…。


最後いきなりカップルになったのは驚きましたけど、でも彼らが実際月曜によお!って明るく友達のように振舞うかは…きっとしないんだろうなと思います。でもきっと今までよりももう少し、自分と違う立場の人たちへのアンテナが立ったんじゃないかなと思います。


それぞれの家庭の事情が解決するわけでも、なんだか嫌な感じの教師が打ちのめされるわけでもない。ただ、違う人間のことを昨日よりも今日わかりあえ、同じような悩みを抱える若者であるということがわかった。そんなリアルで深いテーマのお話だと思いました。作中の曲が良い。ファッションもコテコテ80'sでよかった!

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン[Catch Me If You Can] 感想

詐欺師とFBIのおっかけっこの話。まるでルパンと銭形。本来は敵同士の相手がお互いをひとりの人間として奇妙な友情を交わすお話はやっぱり良いですよね。しかも実話と後から知っておったまげました。

いやぁ、こんなに華麗に人を騙せるなんて単純に頭の良さもですけどなにより肝っ玉が凄すぎます。たとえ私が頭が良くてたくさんお金があったとしてもパイロットや医者や弁護士になりすますなんて…とてもできませんね。しかしフランクの数々の華麗な詐欺行為を見ながら「結局必要なのは金かぁ」とも思いましたが…笑 

 

でもどんなに金や人とのつながりを持って自分を偽っても、彼が本当に手に入れたい、取り戻したかった家族の幸せは帰ってこないし、それ以外は無意味で、詐欺師になってもどんなに天才でも取り戻すことができなかった。そしてどんなに才能があっても、名もない金もない男には金も女も寄り付かないけど、制服や身分をひけらかせば簡単に手のひらを返すこの世への皮肉も面白かったです。


だからこそカールという男に出会えてよかったなと思いました。クリスマスにカールに電話して「他に話す相手がいないんだろう」と図星をさされて動揺する姿は切なくもあり、ただの一人の子供で胸がギュッとなりました。偽りの彼よりも彼自身を追うカールが誰よりも彼を理解していたんだなぁ。

 

最後の最後にカールがフランクを迎えに来てくれて、父の死を知り、逃げ出して、母の現在を知り…。もう彼を突き動かす全てのものが消え、ありとあらゆる手で逃げおおせた伝説の詐欺師はあっさりと降参した姿を見ると切なくて、でもこれだけのことをした天才もたった一人の人間で…。決して珍しくはない両親の離婚ですが、彼は本当に両親が大好きだったんだろうなぁ。フランクが思い浮かべるリビングでの二人のダンス。カーペットのワインのシミなんて彼らの幸せの前ではなんてこともなかったハズなのに。人間は結局生きていくための手段が必要で、選択を迫られたとき…、「利益」を求めてしまうんでしょう。もちろん全ての人がそうではないと思いますが。でもそれは悪い事ではないんです。心の正解と不正解を決めれるのは本人だけですから…。ただ、裏切られた人間の心が傷つく事になるだけです。

 

そして個人的には「偽りの中で生きるのが楽だ」という言葉が印象に残りました。自分も両親は幼い頃にとっくに離婚して家族も離散して、一人になった今。辛いことも沢山あってそれでもどうにか日々生きているのはネット上で別の名前の私がいて、限りなく私だけど少し違った別の「私」がいて、現実の自分なんかよりずっと肯定してもらえる。それが楽しいからかもしれないと思いました。

サイド・エフェクト[Side Effects] 感想

精神を病んだ女エミリーと精神科医バンクスのお話。過去にも鬱を患った彼女のために前担当医シーバートに話を聞きながらすすめられた薬を投与した後に、なんと彼女が夢遊病で夫を刺し殺してしまう。


最初は「精神病患者においてこういったケースは過去にもあったし、それで医者患者共に罪人が出たことはない」という前例もあったことから大丈夫だろうと思っていたが、事態はよからぬ方向へ。この段階ではどうやって彼女の無実を証明するかのお話なのかな?と思って見ていましたが彼女に薬を投与し続けたことを責められた医師は仕事のオフィスや妻や子供まで失うことに。

絶対におかしいと躍起になって事件を調べ始め周囲からの反応も冷たく「もしかしてバンクスが元々ストレスで可笑しくなっていて実は病んでいたのはバンクスって落ち…!?」なんて思いながら見守っていたらそんなことはなくどんでん返し。
エミリーがとんでもない「女優」でありまさかの前担当医シーバート(レズ)と手を組んで金儲け目当ての全て作られた嘘!エミリーとんでもなく悪女ですね…。


しかしかつてのバブリーで輝かしい生活を取り戻したくて計画を立てた彼女と、同じく生活を取り戻したくてふたりを「ハメ返した」バンクスは似ているのかもしれない…。そういう時人間は思いもよらない行動を取ってしまうのかと思うとちょっと怖いですね…。エミリーが悪いとは言え精神科医が自分の立場で復讐の為に一般の人間を薬漬け廃人コースお見舞いしてしまうなんて…人間不信になりそう

 

とんでもない悪女ふたりをどんでん返しでしっかり復讐したのはスッキリ!でしたが頭が悪い上にわりと場面をパラパラと切り替えながら淡々と描かれていたのと自分の予想もあり理解が追いつくのが遅くて視聴直後は「あ、あーーー?そ、そういうこと、か?」てな感じになってまとめ記事などを読み「ああ、なるほどなぁ」と納得。笑

 

映画の最初と最後でエミリーがアパートにいたシーンと精神病院にいるシーンでおわるのですが、彼女にとってはどちらもそう変わらない苦しい生活かもしれないと思うと…少しやるせないですね。

 

パンズ・ラビリンス[Pan's Labyrinth] 感想

今まで見たいと思ってたけど虫が…とか血が…とか内容かなりエグいよ…と脅されまくって怖くて見れなかったんですが覚悟を決めてみました。今までさんざん怖がっていたせいか、むしろイメージより怖くなかったんですがそれでもやっぱりグロいシーンはキツくて何度も目をつぶって音をミュートにするシーンも…笑

有名な手に目のあるクリーチャーは普通に「おお~これが有名な」って感じであまり怖がらずに見れましたね。あとメルセデスがかっこいい。大人たちに完全な善人がいないところが、荒んだ時代を感じさせました。大尉は子供を産ます女が欲しくて、お母さんは金と安全が欲しかった。メルセデスはスパイをして医者もレジスタンス寄りではありますが限りなく中立にいたような気がします。レジスタンスたちももちろん「正義」とは言えないでしょう。現実世界の描写が「リアル」だなぁと。


ともかく内容としては、目を背けたくなるような現実から逃げるように自分がおとぎ話のお姫様であるかのような世界に逃げ、試練にのめり込んでいく…。オフェリアの魂は本当に姫だったのか?パンは本当に実在していたのか?マンドラゴラのおまじないなどは偶然だったのか…あとチョークの扉も。あれ欲しい。


個人的には、パンは本当に存在していたんじゃないかなと思います。この世界のいろんなところに”扉”を作り闇に誘う悪魔のような、番人のような…。そしてお姫様うんぬんというお話はオフェリアの妄想だったんじゃないかなと。


そう思った理由は、医師が大尉の命に背いた理由を聞かれた時に「何の疑問も抱かずにひたすら従うなんて心ない人間にしか出来ない事だ」というセリフのあとのシーンで、パンが現れ「最後の試練に何も質問せずただ言われた通りに従えばいい」という言葉に、最初は従って弟を連れて行くも、最後は弟を差し出すことを拒絶し、結果大尉に殺されてしまいました。一度は迷宮で大尉を足止めしたにも関わらず最後はあっさりオリフィアの元へ。あれもすべてパンの策略ではないかと思います。
最初に出会った時に「ただの人間になっていないか確かめないといけない」というセリフも印象に残っていました。なので、「命令にただ従うだけの心無い人間(非人間)」ではない、ということであり、オリフィアはお姫様ではなく、ただの空想に囚われていた人間のではないか、と解釈しました。


でも姫なのが本当だとして、過去言いつけを破り地上に出た罪を償うために自身の血と魂が必要だったかもしれない…というファンタジーオチでも全然ありな気もしてきた…まだそっちのほうが救いのような気もしますね。そういうことを見た人が考えることのできるお話だと思いました。

ニュー・シネマ・パラダイス[Nuovo Cinema Paradiso] 感想

頭痛くなるほど号泣。 最初から最後まで抑揚があるわけではなく、ゆっくりとシチリアを舞台に時が流れていく。アルフレードとトトという映画を愛する二人の友情と人生のおはなし。


満足感で胸がいっぱいで言葉が上手く出てこないのですが、アルフレードがトトに映画を教え、恋愛を見守り、最後は彼の人生を思い村から追い出す…。


あの村を出なくてもそこそこの人生を送れただろうけど、きっとあの街にいると何度も彼女や映画を作りたいという夢「あの頃は良かった」という想いに支配されていたんだろうな。そしてアルフレードもあの街を出なかったことを後悔していたのかもしれない。だからこそ、トトには夢を追って欲しかった。


アルフレードがトトにしてやった事が目立つけど、トトも何度もアルフレードを助けてあげました。小さなことから、そして”命”…言い換えると”人生”も。
最後のシーンは、まさにあのフィルムに残されていたのはノスタルジーだと思います。きっといろんな事が思い出されて…今は閉館したあの劇場で映画を見ることが、映写室が、どれほど夢に溢れていたか。それを教え与えてくれていたアルフレードからの贈り物…もう言葉もなくボロ泣き。


本当に愛情に溢れた物語で、とても感動。観てよかったです。

トゥルーマン・ショー[The Truman Show] 感想

いや~~~~~~~~~~~~~~~~おもしろかった 

とても斬新で大掛かりで、映画としてメタ的な設定でしたね。ジム・キャリーは数少ない名前を覚えている好きな俳優さんなんですが、コミックのような明るい表情のイメージが強いからこそ、切ないような、思いつめたような表情のギャップに胸が苦しめられます。


この世界の人たちは今まで何も思わず"コンテンツ"として彼の人生を消費していたことになにも疑問に思わなかったのかよ!道徳感~!と思わずにはいられませんが、まあでも確かに自分もテレビでドキュメンタリーを観たりしますが、そこに本当にリアリティを感じるかと言われると確かに…。


死んだはずの父がホームレスとして目の前に現れてから、自分の周囲、生活、人々に疑問を抱き始めてからの気付いて欲しいような気付くのが恐ろしいような…、しかしトゥルーマンももちろん彼の人生に深く関わるキャスト人の人生もまた"コンテンツ"として消費されていて、冒頭でやりがいを語っていたけど、奥さんとかもう…。彼女も騙す側であれどひとりの人間なんですね。意図的にトラウマを植えつけるとか、筋書き通りにするために予定外の人間を静かに消す様子は…確かにある意味で、自分の息子の人生を守っている親のような気持ちになってしまうのかもしれませんね。

手紙は憶えている[Remember] 感想

 

サスペンスと聞いたので見てみました。認知症のおじいちゃんが同じく同じ病院に入っているおじいちゃんと協力して過去戦争で家族を殺したナチを見つけ出し殺そうというお話。


主人公のおじいちゃんが90歳のおじいちゃんで、全体的にかなりゆっくり、じりじりと犯人を追い詰めるように進むお話。主人公のゼヴがすぐに記憶を忘れて自分が何故そこにいて何をしているのか忘れるのでハラハラする場面も。


名前が難しくて覚え辛いし、少しずつ明かされていくので序盤は話の内容を理解するのにもちょっと時間がかかる。視聴者をうまく騙すトリックが効いて、最後の最後まで騙されました。なるほどなぁ しかし、マックス…やるなぁ
その”事実”だけは…忘れていたままのほうが幸せでしたね